能舞台での語り公演の着付け、後見を担当させて頂きました。
会場は南青山の能舞台。
舞台上にはススキが飾られ
友常毘山さんによる趣のある尺八の音色の中
新日本髪に黒の縮緬の羽織と時代を感じさせる味のある素敵な着物姿の叶倫さん。
たった1人での朗読によって、何役もこなし、客席をどんどん樋口一葉の世界に引き入れて行った叶倫さん。
読み聞かせとも演劇とも違う「語り公演」は初めての経験でした。
着付けは何度もご用命いただいておりましたが、後見の役目は初めてのこと。
格子戸を開けて
膝掛けを叶倫さんに手渡し
ススキを下げる
そんな仕事を真っ黒な衣装で暗闇のなかでさせて頂きました。
粗相をしない様に
世界観を壊さないように
ドキドキ!
なんとか無事に役目を終えました。
ポイントは作品の背景や登場人物の年齢に合わせた仕上がりにすること
今回の作品は「樋口一葉 十三夜」
良いところの若奥様で一児の母
衣紋の抜き具合や衿合わせ
台本に出てくる着物の小物
黒の縮緬の羽織
紫の鹿子
かんざし
車に乗る際に膝にかけるショール
ススキ
語りに耳を傾けていると
想像力がたかまり
まるで樋口一葉の描いた世界が現実に今目の前に繰り広げられているような錯覚を覚えます。
そして私がこだわっているポイントは椅子に腰掛けた際にいかに美しくみえるか
能舞台は高さがあるので、お客様が見上げる形となるうえに、椅子に腰掛け朗読をする場面が多いため、着物の裾が座るとぐっ上がってしまいます。
リハーサル、ゲネプロで前から横から何度も裾の長さを確認しました。
そして今回は、ヘアメイクさんが現場に同席しないため、櫛が落ちない様に、シリコンゴムにアメピンをつけて、髪に固定しました。
演者さんがストレスなく集中できること
そんな着付けをめざしたいですね!
たくさんのお客様にご来場きただきましてありがとうございました
とても素晴らしい経験をさせてくださった叶倫さん、ご指導くださった演出家の笠井賢一先生に心から感謝です
ありがとうございました。