梅雨の前に、風を通す。|着物の虫干しと陰干しのこと

2026年6月9日

梅雨の前に、風を通す。|着物の虫干しと陰干しのこと

#3センチ特別#着物のお手入れ#虫干し#保管

カレンダーが6月に入ると、空の気配が変わる。

雨の季節。 湿気は、しまわれたままの着物にとって、いちばん苦手なもの。

着る予定がなくても、この時期に一度。 タンスを開けて、風を通す。

虫干しは、年に三度の習慣

着物のお手入れに「虫干し」という言葉がある。

晴れて乾いた日に、しまっていた着物を吊るし、風を通すこと。 湿気を抜き、カビや虫から守る、昔ながらの知恵。

本来は年に三度。 土用の頃(夏)、虫の動く前(秋)、そして空気の乾く冬。

とはいえ、着物に慣れていない人なら、年に一度。多くて二度で十分。

梅雨を迎える前の今は、その絶好のタイミング。 本格的な湿気が来る前に、一度だけでも風にあてておく。

陰干し、という静かな時間

干すといっても、直射日光は禁物。 色が褪せ、生地を傷める。

選ぶのは、風通しのいい日陰。 着物用のハンガーに吊るし、半日ほど。

たたみジワがゆるみ、こもっていた匂いが抜けていく。 ただそれだけのことなのに、着物がほっとしているように見える。

しまうことも、装いのうち

着る日のことばかり考えてしまう。 けれど、しまっている時間のほうが、ずっと長い。

その長い時間に、ほんの少し手をかける。 畳紙(たとうし)を替える、防虫剤の位置を見直す、引き出しに風を入れる。

一年に何度か、着物と向き合うこのひととき。 それもまた、3センチくらい特別な時間。

雨の音を聞きながら、たんすの前にしゃがむ。 来年も、再来年も、袖を通せるように。

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