2026年7月6日
着物のときの、ものの扱い方。
#所作#着物#立ち居振る舞い#着付け#3センチ特別
着物を着ると、ふだんの何気ない動きが、少しゆっくりになります。ものを拾う。机のものを取る。お茶を運ぶ。そのひとつひとつに、ちょっとした心がけを添えるだけで、所作はぐっと美しくなります。
今日は、着物のときの「ものの扱い方」を三つ。
落ちたものを、拾う。

やわらかな光の差す部屋で、足元にそっと落ちたもの。拾う仕草のひとつにも、着物の所作は静かに表れます。
足元に落ちたものを拾うときは、少し追い越してから、足を半足分引きます。そして、上半身をまっすぐに保ったまま、膝を折って拾う。腰から前にかがまないのがコツ。背筋がのびたまま下りると、裾も乱れず、後ろ姿まで美しく整います。
言葉だけでは伝わりにくい動きなので、実際の流れを短い動画にまとめました。歩み寄って、半足引いて、まっすぐ下りる。その一連を、目でたどってみてください。
机のものを、取る。
机の上のものを取るときは、反対の手で着物の袖を押さえます。袖口の中が見えないように。それだけで、所作にきちんとした品が生まれます。
ものを、運ぶ。
お盆にお茶やお菓子をのせてお客様にお出しするときは、お盆をうやうやしく、少し高めに持ちます。腕は円相(えんそう)、四本の指を付けて、丸みをおびた形に。それだけで、美しさが増します。
反対に、飲み終わったお茶を下げるときは、空の茶器をのせて、少し低めに。綺麗なものは高く、使い終えたものは低く。持つ高さを変えるだけで、心づかいが所作に表れます。
難しい作法ではありません。ものを大切に扱う気持ちが、自然と動きに出るだけ。落ちたものを拾う、お茶を運ぶ。その何気ない一瞬が、着物だと、ちょっと特別に見える。3センチくらいの、特別。
着物の所作は、まだまだ続きます。次は、姿勢と立ち居振る舞いのお話を。