夏を越えたら、しまい方を見直す。|着物の保管とたとう紙、湿気のこと

2026年8月5日

夏を越えたら、しまい方を見直す。|着物の保管とたとう紙、湿気のこと

#3センチ特別#着物のお手入れ#保管#たとう紙

夏の湿気が、ようやく一段落する頃。

袖を通さないまま、たんすの奥にしまわれている着物。 その一枚に、少しだけ手をかける季節。

夏を越えたきものは、思っている以上に湿気を吸っている。 しまいっぱなしにする前に、一度だけ見直す。

しまう前に、しっかり乾かす

着物は、湿気がいちばん苦手。

一度でも袖を通したなら、すぐにはたたまない。 着物用のハンガーに掛けて、風通しのいい日陰で半日。 下に新聞紙を敷けば、落ちてくる湿気を吸ってくれる。 扇風機で風を送れば、湿気はもっと早く飛ぶ。 汗や湿気を抜いてから、しまう。

しまうときに湿気が残っていると、それがカビや変色のもとになる。 乾いてからしまう。 たったそれだけで、着物はずいぶん長持ちする。

晴れた日に風を通す「虫干し」も、同じ湿気対策。 年に一度か二度、たんすを開けて、空気を入れ替える。

たとう紙は、着物の呼吸

着物を包む、白い和紙。 たとう紙(たとうし)と呼ぶ。

湿気を吸い、着物を汚れから守る、控えめな脇役。 けれど、その紙自身が湿気を吸いすぎると、役目を果たせなくなる。

茶色いシミが出てきたら、替えどき。 目安は、一年に一度。 新しい紙に替えるだけで、たんすの中の空気が変わる。

防虫剤は、一種類だけ

防虫剤は、種類を混ぜない。

成分の違うものを一緒に入れると、溶け合ってシミになることがある。 使うなら、一種類にそろえる。

着物に直接触れないよう、たとう紙の上にそっと置く。 一緒に、湿気とりを一つ。 引き出しに詰め込みすぎないことも、風の通り道を残すこつ。

カビは、湿気の置き土産

しまいっぱなしの着物に、白い粉のようなもの。 カビは、こもった湿気が残していくもの。

見つけても、あわててこすらない。 生地を傷め、かえって広げてしまう。

軽いものなら、風を通して乾かす。 落ちないもの、絹の大切な一枚は、無理をせず着物のお手入れ専門店へ。 自分で抱え込まないことも、着物を守る判断。

しまう場所を、時々開ける

湿気は、下にたまる。 大切な一枚は、たんすの上の段へ。

桐のたんすは、湿度を自然に調えてくれる昔ながらの知恵。 けれど、どんな入れ物でも、閉じっぱなしがいちばんよくない。

月に一度、引き出しを開けて、空気を入れる。 それだけで、着物は驚くほど機嫌がいい。

一枚ずつ、見送るように

夏を越えた着物を、順番に開いていく。 シミはないか、湿気は残っていないか。

畳んで、包んで、また静かにしまう。

派手なことは、何もない。 けれど、この地味な手入れの積み重ねが、十年先の一枚を守る。

しまい方を整えることも、昨日より3センチくらい特別な、着物との時間。

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