2026年9月13日
83歳の母と、3センチの特別。|年に一度の家族の誕生日会
#着物#家族#単衣#3センチ特別
私には、きょうだいがいます。父は早くに亡くなり、母は今、一人暮らし。互いに忙しい毎日ですが、年に一度だけ、こうして集まって誕生日会をしています。
夏のあいだから予定を出し合っていたのですが、遠くで暮らすきょうだいも、私も、なかなか都合がつかず——なんとか、この日に実現しました。
母は数年前に病気が見つかり、海藻や昆布だしを控えて、食事に気をつけてきました。その甲斐あって、今では外出のときに、我慢せず好きな和食をいただけるまでに。今日は大好きなお寿司を、みんなで。それはもう、楽しみにしていました。
私が着付けを仕事にしてから、もともと着物好きだった母は、いっそう熱心に練習するようになりました。今では、私のいちばん真面目な生徒です。
「単衣はあまり持っていないのよね」。そう話していたので、先月、小柄な母に似合いそうな単衣の紬を送っておきました。晴れたら着物で出かけるのを、心待ちにしていた母。「こんな素敵なお店みたいよ」「帯は何色がいいかしら」。たびたびLINEをしては、子どものようにはしゃいでいます。かわいいのです。
今日の私の装いは、母の着物に合わせて、祖母から譲り受けた秋色の紬に。母が96歳まで寄り添い、見送った祖母が、よく着ていた一枚です。
大げさな特別ではなく、手のとどく3センチの特別。母と選ぶ帯の色も、譲り受けた紬に今日また袖を通すことも。その一つひとつが、かけがえのない時間です。
今年で、83歳の母。あと何回、こうして着物で、家族で出かけられるかな。