2026年5月18日
200名を、美しく送り出す。
関東でも有数の、ある阿波踊り大会。 毎年、その大会で踊る複数の連の着付けを、お任せいただいてきた。 今年は、振興会から、新たなご依頼を頂戴した。
「8月の2日間で、それぞれ100名以上の女踊りの着付けを、お願いしたい」
1日目は、ある取引先金融機関の女性社員の方々。 2日目は、来年度入社予定の大卒内定者の方々。
メールで追ってお聞きした数字は、新規の連だけで、2日間で合計150名を超える。
阿波踊りの女踊り、という装い
阿波踊り。 日本の夏を彩る、伝統の舞。
私たちが着付けるのは、女踊りの装い。 上体を起こしたまま、両手を高く上げて優雅に踊る。
衿元は美しくなければならない。 帯結びは、連によって結び方は異なるが、位置は高く、若々しく、激しい動きでも、崩れないことが重要だ。最も難しいのは、浴衣の裾の作り方だ。裾をまっすぐに仕上げる連もあれば、まるで燕尾服の様な、ビジュアルに仕上げる連もある。シワひとつない美しい仕上がりにすることが、プロの腕の見せ所。
踊る側の経験から、生まれた技術
阿波踊りの連の踊り手でもある経験から、生まれた技術がある。
手を上げたとき、衿元はどう動くか。 背中に連の紋がある場合は、帯で隠れない位置に紋を出す必要がある。そのため、衣紋のぬき具合と帯の高さを計算する必要が生じる。また、手を高く上げたまま15分以上踊り続けるため、中に着る肌襦袢の袖を肩まで捲り上げておき、着付け完了後に両腕が無理なく上がるか、しっかり確認をして送り出す。
天候により、裾が捲れる可能性を考慮して、裾よけの膝の位置を、安全ピンで止めることもある。
真夏の暑さで踊り手が、汗でびっしょりになるため、化繊の衣装が足にまとわりついてくる。それを回避するため、着付け開始前には、足先をカットしたストッキングを履いていただき、足袋を装着している。これらの下準備により、思いっきり踊ることができる。
動いても、美しい
ふつうの訪問着の着付けが、1名様につきおよそ30分。 振袖はおよそ40分。 阿波踊りの着付けは—— 1名様、20分程度。連の集合時間までに完了させる。
8名の着付け師が、3時間で70〜80名を、流れるように。 それでも、ひとりひとり、美しく。
時間との戦いの中で、品質を落とさない。 これが、組織としての着付け。
毎年6月から、勉強会を始める
8月本番に向けて、6月から、数回に渡り、プロ着付け師を集め、阿波踊り着付けの勉強会を開催している。
毎年経験しているベテラン着付け師も、新たに参加する着付け師も、綿密な打ち合わせと練習を行う。
連により、帯結びの形や、浴衣の裾の仕上げ方がまちまちなため、あらゆる仕上がりを想定した練習を行っている。
技術の確認。 昨年の改善点の共有。 新しい工夫の試み。
夏本番までの、約3か月間。 最善の仕上がりを目指して、積み重ねる。
美しく、送り出す
着付け師の腕は、舞台で初めて、評価される。 手を上げたとき、足捌き、踊ったときに、美しくあり続けなければならない。
200名を超える方々が、私たちの仕上げで、夏の舞台に立つ。 来年も、再来年も、続いていく。
ひとりひとりに、手を抜かない。 それが、私たちの志事。
今年も変わらず、ご依頼をいただいた時に、喜びを感じる。
※連・大会単位での阿波踊りの出張着付けは、株式会社好循環が運営する「出張着付けのキツケデリ」で承っています。