2026年5月25日
亀戸の宴で、阿波踊りのご縁が動いた。
亀戸の、ある夜のこと。 元・旭天鵬親方が切り盛りする「大島部屋」の千秋楽パーティーに、ご縁あって出席させていただいた。 会場は、亀戸アンフェリシオン。
この日の装いは、紫藤尚世先生のお着物。 人生の節目とまではいかない、けれども、ちょっと気の張る、3センチくらい特別な夜。 そんな日にこそ、着物に袖を通したくなる。
余興は、南越谷「丸若連」の阿波踊り
賑やかな宴の途中、余興として登場されたのが、南越谷阿波踊り大会に出場される「丸若連」の皆さま。
笛と鉦と太鼓の音が、会場いっぱいに広がる。 連の皆さまが、しなやかに、力強く、舞台を踊り抜けていく。
その瞬間、不思議なことが起こった。 お行儀よく座っていたはずの来場者が、一人、また一人と立ち上がる。 気がつけば、会場のあちらこちらで、皆が手を上げ、足を踏み、踊りはじめている。
これが、阿波踊りの力。 踊る阿呆と、見る阿呆。同じ阿呆なら、踊らにゃ損々。
モノマネあり、カラオケあり、阿波踊りあり。 笑い声が絶えない、本当に楽しい宴。
「皆さんもどうぞ!」の一言から
余興のあるとき、連の皆さまから「皆さんもどうぞ!」のお声がけがあった。
これは、踊らないわけにはいかない。 私は、自分の連でも女踊りを踊る、現役の踊り手。 着物姿のまま、輪に加わらせていただいた。

すると、踊り終わったあとに、周囲からこんなお言葉。
「めちゃめちゃお上手ですね」
嬉しい驚き。 そして、続けて、こうお返事した。
「ありがとうございます。実は私も、連で女踊りを踊らせていただいているんです」
余興のあと、丸若連さんに声をかけた。
「素晴らしかったです。会場が盛り上がりましたね! 実は毎年、南越谷阿波踊り大会でいくつかの連の着付けを承っているんです。阿波踊りの着付けを得意とした着付け師は、なかなかいませんから、宜しければ是非よろしくお願いします」
すると、連の方々の表情が、すっと変わった。
「え! 阿波踊りの着付けができる着付け師さん? 連長、名刺名刺! 交換! 名刺!」
名刺交換から、ご縁が動きはじめる
連長さんが、慌ててこちらに駆け寄ってきてくださる。 名刺を交換させていただきながら、私は、ある偶然に、内心、驚いていた。
ちょうど、これまで個別にご縁をいただいてきた阿波踊り着付けを、もっと多くの連の皆さまへお届けする道筋を、整えはじめていたタイミング。
連の幹事様や連長様に、どうやって私たちの「踊り手のための着付け」を知っていただくか。 そのご案内の道筋を、ようやく形にしはじめたところだった。
ところが、こうした表側の準備とは別に、いちばん大切な「ご縁」のほうから、思いがけない場所で、向こうから歩み寄ってくださることがある。
着物を着て、ある夜の宴に出席する。 皆さまと一緒に踊る。 たった一度の名刺交換。
それが、阿波踊り着付けという、新しい一歩のスタートラインに、ぴたりと重なってくれた。
3センチ特別な日に、着物を着てよかった
結婚式や成人式のような人生の節目の特別が1メートルだとしたら、 お茶会や観劇、そして今夜のような少し気の張る宴のような、日常のちょっと特別は3センチ。
千秋楽パーティーは、人生の節目ではない。 けれども、その3センチ特別な夜に、私はやはり着物を選んだ。
そして、その選択が、阿波踊りの輪に自然と入る理由になり、名刺をお渡しする理由になり、連長さんとの初めましてのご挨拶につながった。
着物を着る、というささやかな選択が、思いがけないご縁を運んでくる。 3センチ特別な日に、着物を着てよかった——心の底から、そう思えた夜になった。
ご縁に、感謝を

大島部屋・旭天鵬親方の千秋楽パーティーにお誘いくださった『KIMONO SHITO HISAYO』鈴木翔子店長、楽しい余興で会場をひとつにしてくださった丸若連の皆さまに心から感謝致します。大島部屋の力士の皆様のご活躍が益々楽しみです♪
ひとつひとつのご縁に、心から感謝を申し上げます。
これからも、3センチくらい特別な日に、着物を着ていきたい。 その先には、きっと、また新しいご縁が待っている。