ハンカチ一枚と、3センチの心配り。

2026年5月22日

ハンカチ一枚と、3センチの心配り。

#3センチ特別#着付け師#朗読会#藤堂叶倫

朗読家・藤堂叶倫さんとの出会いは、5年前にさかのぼる。 渋谷の大和田伝承ホールで開催された記念朗読会。 その日の着付けをお任せいただいてから、今に至るまでの大切なお客様。

「朗読」という、空間をつくる仕事

叶倫さんの魅力は、その素晴らしい声ばかりではない。 作品にかける情熱と、細やかな心配り。 客席で見守るファンの方々を惹きつけ、また、類は友を呼び、魅力あふれるお弟子さんが集まってくる。

国際芸術連盟主催の「朗読オーディション」と「朗読コンクール」では、審査員にも名を連ねる。 朗読の世界で、確かなご活躍を重ねていらっしゃる方。

そんな素敵な方が、5年のあいだ、ここぞという舞台や公演の度に、必ず、着付けのご用命をいただいている。

15分の、早着替え

その理由を、あるとき、こう教えてくださった。

「着付けの美しさやセンスは、もちろんだけれど。 芥川龍之介さんの作品の朗読会で、夏の薄物の衣装と袷の衣装を、15分で早着替えをするということがあったでしょう。 あのとき、衿が素早く取り外せる長襦袢を貸してくださって。 あっという間に、夏の長襦袢に整えてくれたわよね。 帯は当日、楽屋で、クリップ一つで短時間に作り帯にして準備してあった。 しかも、15分の間に、お手洗いにも行ったのに、出番までに、しっかり仕上がっていたの。 特に、衣装のまま化粧室から出てきた私に、ハンカチを差し出して待っていてくれて。 そこから流れるように、早着替えをさせてくれたとき、すごく感激したの。 これからずっと、着付けは沼澤さんにお願いしようと、あの日、決めたのよ」

舞台の出演時間までに、必ず仕上げる。 それは、着付け師として、当然のこと。

ただ、その当然のことを支えていたいくつもの小さな心配りに、ここまで深く感激されていたことを知り、私のほうこそ、叶倫さんの魅力に、ますます心を打たれた。

3センチの心配り、5年の信頼

衿が外せる長襦袢。 クリップ一つの作り帯。 お手洗いの時間まで逆算した段取り。 化粧室の前で、ハンカチを差し出して待つ、ほんの数秒。

どれもこれも、ほんの3センチくらいの心配り。

ただ、その3センチの積み重ねが、5年の信頼に変わり、ここぞという舞台のたびに、私にお声がけいただける理由になる。

着付け師として、呼ばれる理由は、技術の上手・下手だけにあるのではない。 お客様の人生の一日、舞台の一幕を、ご自身が一番心地よく過ごせるように。 その想いから、何を、どこまで、先回りして整えておけるか。

それは、教科書には書かれていないけれど、お客様には、はっきりと伝わっているもの。

まもなく、目黒のパーシモンホールで

そんな素敵な叶倫さんのお弟子さんたちが、まもなく、目黒のパーシモンホールで朗読会を開催される。 今回も、叶倫さんのお声がけにより、2名の方の衣装の着付けを、お任せいただく。 ご縁に、心から感謝している。

語りで綴る 夢十夜(夏目漱石作)2026年5月27日 めぐろパーシモンホール

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朗読会 夢十夜

2026年5月27日(水) 13時開場 / 13時30分開演 めぐろパーシモンホール 小ホール

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藤堂叶倫さんは、能楽プロデューサー・演出家の笠井賢一氏に師事され、能楽堂での語り公演でも大好評を博されたご経験がある。 今回の朗読会で、夏目漱石の『夢十夜』をどのように演出され、どのように表現されるのか。 私も、当日が、本当に楽しみ。

たくさんの方に、足を運んでいただきたい。

ご縁に、感謝を

5年前の、たった一度の早着替え。 その日の3センチの心配りが、こうして今日まで、ご縁をつないでいる。

着付け師の仕事は、一日で終わらない。 お客様の人生の節目に、何度も、何度も、呼ばれることができたなら、これ以上のしあわせはない。

藤堂叶倫さん、そして弟子の皆さま。 これからの舞台にも、心を込めて、お供させていただきます。

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